- 甲状腺の薬はお腹の子どもに悪い影響を及ぼしますか？バセドウ病の薬は形態異常（奇形）の原因になりますか？
- 母親に必要な甲状腺の薬は、安全に赤ちゃんを産むために、胎児にも必要な薬です。ただしバセドウ病の場合は、妊娠初期は薬の種類を変えた方が良い場合があります。
妊娠中に薬を飲むのはよくないと思われがちですが、胎児のためにも飲んだほうがよい薬があります。甲状腺機能低下症に使う甲状腺ホルモン（チラーヂンS）やバセドウ病の治療薬がそうです。安全に出産するには、妊娠中の甲状腺ホルモンを妊婦さんの正常範囲に保つことが必要だからです。バセドウ病の治療薬は胎盤を通るので、胎児に一過性の甲状腺機能亢進症が起こらないようにするのに役立ちます。ただしバセドウ病に使うメルカゾールは、赤ちゃんにある種の形態異常がでることがあるので、妊娠15週まではできるだけ避けることが必要です。しかし影響がでないことのほうが多いので、他の薬で副作用がでたり、メルカゾールでないと甲状腺機能が正常になりにくい場合などは、患者さんと相談した上で使う場合もあります。メルカゾールは効き目が良いので、妊娠初期以外にはむしろ好ましい薬です。（バセドウ病と妊娠の「薬の安全な服用法」参照）
